「桜の下で踊っているキミは可愛らしかった。オンナのコが塀を乗り越えてきたのには驚きましたけどね。それが佐伯さんだと気付いたときにはもっと驚きました。 キミはいつも一人で絵を描いていたから。とても静かに。つまらなそうに。感情を表に出すこともせずに。 そんなキミが“もっとして”なんて言うんですからね。少しからかってみるつもりが危なかったですけど」 ……そう。そんなことを口走ったんだ、あたし。 センセイにされた事と、自分が言ったことを思い出したあたしは赤くなった。