「言ったら……離してくれる?」 「ええ」 「……罰を、もらうために。センセイのこと、もっとキライになるために」 「そうじゃないでしょう?」 「本当……だもん、」 「……まったく。強情なコですね」 次の瞬間あたしは。 センセイの白衣の胸の中にいた。 「これでも認めませんか?」 ――めまいがする。 ぎゅっと抱きしめてくる腕が苦しくて。 センセイの匂いで埋められていく肺が、苦しくて。 ――もう、限界。 キライになるために来たのに、 これじゃ…… センセイのこと、ますます好きになってしまう。