「危ない」 何が起きたのか一瞬わからなかった。 だけど。この匂い。この感触。 タバコと、白衣の。 包まれたまま後ろを振り返ると、 「また、ですか」 蓮見センセイがそこにいて。 「帰ろうとしたら塀を乗り越えてくる人影が見えたんです。 誰かと思ったら……、やっぱり佐伯さんでしたか。 本当にキミは侵入好きですね。困ったものだ」 あきれた表情で、ふっとほほ笑んだ。