◆◇◆◇ お願い、 センセイ、 ・ ・ ・ ・ 「帰っ、た……?」 塀の向こうの校舎は暗闇に包まれていて。 桜の木の奥に見える準備室の明かりもついていなかった。 重い足を引きずって。 乱れた息を整えて。 窓に近づいて中をのぞいてみたけれど、やっぱり人影はなかった。 けれど。 「……あれ?」 ふと見上げると、カギがかかっていないことに気づいて。 窓に手をかけてそっと引くと、簡単に開いた。