『何にもないなら無いって、佐伯さんからちゃんと校長センセに言ったほうがよくない?
あ、でも、肝心の蓮見センセイが居なくなっちゃったら意味ないか』
「……」
『センセイ、たぶんまだ残ってると思うよ? 学校に』
「……」
『聞いてる? 佐伯さん』
「……」
あたしが黙っていると、小さくため息が聞こえた。
『じゃ、切るね。明日はちゃんと来てね。待ってるから』
ケータイを下ろしたあたしは、すぐに布団にもぐり込んだ。
ぎゅっと目を閉じて、無理にでも寝ようとして。
だけど。
“明日にでも居なくなっちゃうかもね”
上原さんの言葉が頭から離れない。

