カップを持ち上げてすすったコーヒーは苦くて。 のどを通り過ぎるのと同時に咳が出た。 「大丈夫ですか?」 センセイの手が背中に触れて、 ゆっくりと、上下に撫でてくる。 ――だから、もうこういうのはやめて。 カップを強めに机に叩きつけたあたしは立ち上がった。 早くセンセイから離れないと、 頭の中が、ぐちゃぐちゃになりそうだった。 「もう……帰り、ます」 たぶん、好きなんだって気付いたから。 センセイから、 離れたかった。