「やだ……」



帰りに何かされるかもしれないってことよりも、


そんな格好でセンセイの腕の中にいることが恥ずかしくて。



「離して」


「離してもいいですけど」


「なん、ですか」


「濡れてるうえに、匂いますよ佐伯さん」


「……」


「着替えはあるんですか?」


「……ない」


「知ってますよね? 準備室に洗剤があるってこと」



振り向くと、センセイの顔が近くにあって。



「あ……」


「脱いだほうがいい」


「……でも、」


「とりあえず洗って、それから考えましょうか」



口を開けたあたしの言葉をさえぎって、


勝ち誇ったふうに、ふっと笑った。