もう少しで扉の前っていうところで、



「……きゃ」



乾ききっていない床の上の水に足をとられた。


尻もちをつくのと同時に、バケツの中の汚れた水があたしの上に降ってきて。


ブラウスもスカートも、派手に濡れた。



「……最悪」



どうしよう。


今日は体育もないから、ジャージも持ってきてないし。



「どうしてあたしばっかり……」



最後にイヤな目にあうのは、いつもあたし。



「もう……どうでもいい」



めんどくさい。


全部。



イイ子をやってるのも、


こんな学校にいることも。



転がったバケツをそのままにして、


もう誰も残っていない薄暗い校舎の階段をゆっくりと下った。