「塀をよじ登ったんですか?」 「だっ、て……」 人目につかず思い切りはしゃげるのは、夜しかないから。 「花びらまみれですよ?」 すっと伸びてきた腕は、あたしの上に置かれて。 イタズラに繰り返される手の動きは、 頭の先から溶けてしまうかと思うほどで。 「もっと……して」 勝手に、あたしの奥から出てきた声は、 今まで口にしたこともないような、恥ずかしいものだった。