「もうっ! センセイが自分でやればいいじゃんっ。いいよ、あたしが交換してくるから、水!」
水入れを持った上原さんは、準備室を出て美術室の水道へむかった。
……のはいいけど。
勢いがいいから、床に水がこぼれ落ちてて。
「……」
ありがたいような、そうでないような。
この床も、あたしが掃除するんだけど。
「はぁ……」
ため息をこぼしたあたしに、
「大変ですね」
センセイが笑う。
……もう。
また楽しんでるし、この人。
「大変です」
むくれたあたしを。
「でも、なかなか楽しいでしょう?」
眼鏡の奥の目を細めて、また笑った。

