「ねぇ、攘夷運動が盛んだけどさ、あんたのその時代は天子様や将軍様は大丈夫なの?」
鞠千代の掲げた疑問に纏まりつつあった流れは再び拡散してゆく。
私は全身を凍りつかせた。ピシッ!!まさにそんな擬音が聞こえてきそうなほどに。
長年に渡り国の政(マツリゴト)を担ってきた幕府の時代の終わり。故に、この時代を幕末と呼ぶ。確か、京都守護職の松平……えーと、誰だっけ?
とにかく、その松平さんの預かりとなっていた新撰組は佐幕(サバク)派。後に幹部たちは正式に幕臣として認められることになる。
どうしよう……!!なんていえばいいの?!天皇家は存続してるけど、将軍、つまり徳川幕府は。
たちまち不安が膨れ上がる。この身命に賭しても、と覚悟を決めているお上の人たちが、滅ぶ。徳川だけじゃなく、新撰組だって、戊辰戦争で―――。
「まさか、将軍様たちになんかあるの?!」
「―――う、あッ?!」
一人であれこれ思い悩んでいると、何か感じ取ったのか、表情を不安一色に染めた鞠千代が突然、私の両肩を掴む。
「ねぇ、徳川は?!徳川はどうなるの?!!」
がくがく、と鞠千代は大きく肩を揺さぶる。その姿に胸が痛んだ。
真実を言ったら、一体……?
「ねぇ、ねぇってば?!!」
「あ、あのちょっと……揺すら、ないで……」
「鞠、止めろ」
「だって……!」
尚も揺さぶり続ける鞠千代を東雲さんが止める。渋々といった様子で鞠千代は手を放してくれた。
一瞬、どうして彼女がこれほどまでに必死になるのか、不思議に思った。けど、何かに忠誠を尽くしたことがない私にはわからないことな気がして、考えるのを止めた。
