凛と咲く、徒花 ━幕末奇譚━





「その気持ちの更に奥深くには、生きたい、という思いが必ずある。自分を取り巻く環境や現状全てを白紙にしてみたとき、人は死にたい、などと思うはずがないからな。自分で無理やり押し込めてしまっていた、その生きたい、という気持ちこそが、お前の本当の素直な思いだろう?」


「っ!!」




言葉の一つ一つが、心に真っ直ぐ突き刺さり、求めていたように吸い込まれていった。

胸が温かい感覚でいっぱいになり、心地よい苦しさに包まれる。悲しいわけじゃないのに、何かが怖いわけじゃないのに、それなのに―――流れ出す、涙。




「少々、手荒ではあったが……総司はきっとお前にそれを伝えたかったのだと思う。鞠が私たちにお前が消えたことを報告しに来たとき、真っ先に走り出したのは、あいつだった。恨むようなことだけは、しないでやってくれ」

「っ、う、ぁ……っく……」




手拭いを目に押し当て、咽び泣く。布自体は既に温かさを失い冷たくなってしまっていたけれど、流れてくる涙は不思議にも温かく感じられた。



人喰い桜に〝消えたい〟と願った。彼に〝殺せばよかった〟と口にした。けれど、本当に死にたかったわけじゃないよ。死にたくなかったからこそ、夜の騒動を引き起こしてしまったんだ。


生きていたくなかったんじゃない、……私、本当は生きたかったんだ……生きたくて、仕方なかったんだ……。



周りに存在を否定されているようで、ずっとずっと押し殺していた思いが溢れ出す。素直な思いを、本当の気持ちをようやく受け止められた。