「ッや……いやあ!放してぇ!!!」
「騒ぐな!」
「やだやだ!やめてよっ!!」
ジタバタと手足を動かし体を捻ってみても、たいした抵抗にはならない。逆に更に強い力で押さえ込まれてしまう。
「なんかで口塞いどけ!」
誰かがそう指示し、どこからか取り出した手拭いのような物を口に無理やり詰め込まれる。
「んん―――!!」
辛うじてくぐもった声が虚しく響くだけ。これじゃ、助けを呼ぶに呼べなくなってしまった。
「助けなんて誰もこーへんで?」
「せやせや、来たとしても嬢ちゃんは牢の中に逆戻りやで?」
「かわいそーに。どっちみち殺されんねんなぁ」
「しっかし旨い話やわー。この子犯して殺すだけであんなぎょうさん金もらえるんやでなぁ」
頭上では残酷な会話が繰り広げられる。
怪しいと思っていたのに、のこのこついてきてしまった。その結果が、これだ。残された道はあまりにも酷すぎた。屯所内でおとなしく死を待つのが嫌で、現れた男の言葉を鵜呑みにしたら、実はそれは罠で……。騙されて外へ抜け出し見知らぬ男たちに犯され殺される。
これが私の最期?ここまで堕とされ、私は死んでいくの?嫌だ嫌だ嫌だ、こんなの嫌だ!酷すぎる!!助けてよ、助けてよ…誰か……!!
「ほな、早よ終わらせてしまおか?」
男の腕が私の袴の腰紐に伸びてゆく。
誰か、助けて……。
視界に広がるは果てしなく黒一色で覆われた景色。砕け散った希望。嗚呼、もう、救いの光なんて見えない―――
