先ほど自分はあの幽閉されている少女から希望を奪い取った。クナイを手にし、無理やり黙らせたときの、あの落胆と悲愴の色に満ちた瞳が忘れられない…。
希望など皆無。
それは今、鞠千代の目の前にいる東雲とて同じことだった。彼女にはこの世に生を受けた瞬間から希望が存在しないのだ。それを鞠千代は知っていた。だからこそ、固く決意した。
〝自分だけは、何があっても絶対に東雲の敵にはならない。自らの最期まで、彼女を守る〟と…。
「鞠」
長い沈黙を経て、東雲が名を呼ぶ。鞠千代は不思議そうに笑みを外した。
東雲は何故か鞠千代に背を向け、一言だけ呟いた。
「……ありがとう」
