「はい」
「あなたも同席してくれませんか?」
そういって眼鏡越しに視線をちらりと私へ移し、
「その方が彼女も少しは落ち着いて話し易くなるでしょうし。お願いしますよ、東雲(シノノメ)くん」
瞳がにこりと和らぐ。
初めて名前を聞いた。東雲さんていうんだ。
「…総長がそう仰るのでしたら」
東雲さんは小さく頷き、私のやや後ろに正座した。
それを見て、丸眼鏡の人はもう一度微笑む。この提案は文字通り、私を気遣ってのものなんだろうか。見知らぬ男たちの中に一人ぽつん…と取り残されるよりは女の子がいる方が、明らかに怯えている私の気も多少は解れるのではないか、と。そう思ってくれたのかな?
そう考えれば、少しの希望の光が射したように思えた。
でも、微かな光はまたしても、薄れる。
「そこまで気を遣ってやる必要なんてねぇんじゃねぇか?」
ぴりりと震え、引き締まる空気。
右端の鋭い目の人が眉間に皺を寄せ、私を睨む。その眼光の威圧に、肩が竦んだ。
怖い、この人。
「山南(サンナン)さん、この小娘は敵だぜ?」
「まぁまぁ、いいじゃないか。彼女が口を割ってくれなければ……我々としても困りますからねぇ」
眼鏡の人―――山南さんは宥めるように言い、微笑んだ。
言の葉に冷たさをそっと含ませ、微笑んだ。
