そのとき、とある疑問が芽生えた。
今までなんとも思わなかったけど、この人……女の子なのに、なんで新撰組にいるんだろう?てっきり男ばっかだと思ってたのに。
慌てふためいていた心が静まる。何も深く考えず、ただ純粋にそのわけを尋ねようとしたときだった。
「じゃあさ、しのちゃんって呼べば?」
天井から何やら黒い影が着地した。それは言うまでもなく鞠千代で。
「あたしみたいにしのちゃんって、気軽に呼んじゃえばいいよー!」
「鞠!お前また天井裏に、」
「ねっ、しのちゃんも別にそう呼ばれてもいいよねー?」
注意しようとした彼女を遮り、にっこり笑う。その呑気な笑顔に怒る気を削がれたのか、彼女は短く、好きにしろ、とだけ言った。それを聞いた鞠千代はまた嬉しそうに笑い、私の両手を取った。
「えっとー、朔ちゃん、だっけ?まぁ、多分殺されないだろうなーとは最初から思ってたけど、本当に無事で何よりだよ。いやーめでたしめでたし!!」
「あ、ど、どーも」
疑いの目ばかり向けられていた分、いきなりの歓迎に戸惑って笑みが引きつってないか心配。
消えてしまった。繋いだ手を大きく揺らしながら、鞠千代は続ける。
「こーんな男ばっかのとこいるとさ、女の子の友達なんてなかなかできなくて。ほんと久しぶりだからさ、なんかうれしいわぁ!よろしくねっ!!」
「うん……こっちこそ、よろしくね」
「あたしのことは気軽に鞠ちゃんて呼んでくれていいからねっ」
「そうだ。遠慮せず、好きに呼べばいい。……なんなら、総司を名で呼ぶ許可も一緒に出してやる」
しのちゃんが何気なく付け加えた言葉。そこで改めて、今一番感謝を伝えたい相手が誰なのかを自覚する。
