「もう戻っていいぜ。東雲、あの部屋でいい。こいつを連れてけ。んで、布団とか用意しれやってくれ」
「はい」
背筋をぴん、と伸ばし正座していた東雲さんは立ち上がり、私を見る。
「行くぞ」
――×――×――
「ここに置いておくからな」
彼女は両手で抱えていた布団をどさっと壁際に置いた。腰に手を当て、軽く背筋を反らす。
「とりあえず、今日からここがお前の部屋だ」
「はい……ありがとう、ございます」
幽閉されていた場所が自室になるなんて、なんか妙な気分。でも居場所を与えられたことは素直にうれしい。
視界に入った燭台。山南さんが用意してくれた物。昨日は冷めた目でしか見ることができなかったそれが、今日はやさしく見えた。
「私、生きられるん、ですね」
噛み締めるようにゆっくり呟く。さっきまでは湧いてこなかった実感が、今やっとじわじわと爪先から湧き上がってきた。
「こうなることなど、最初からわかっていたがな」
「へ?」
「……なんだ、お前、本気で殺されると思ってたのか?」
「え、いや、だって」
それ以外に何があるの。
言葉を濁す私に、彼女は呆れたように冷静だった表情を白けさせた。
「本当にお前を殺す気なら、私たちはわざわざ昨夜お前を助けに行ったりはしない。いや、もっといえば……あの邸で斬っているさ」
「……はぁ」
「ま、折れて下さった副長には感謝するんだな」
