脱力している私を気遣うような視線を添えつつ、近藤さんは付け加える。
「もう手足を拘束したりはせんが、君の行動は暫くの間、常に我々の目が行き届く範囲に制限させてもらう。それは理解してくれ。いいな?」
「ま、軟禁状態だとでも思っときゃあいいんじゃねぇか」
「は、はい」
土方さんが言った軟禁という言葉は若干引っかかる。でも、少なくとも私への敵意と警戒心が薄らいだことは確か。まだ完璧に信用されたわけじゃなくても、今はそれだけで十分だと思う。
「よし、そうと決まれば、皆にも彼女のことを話しておかなければな。巡察へ出ている者もいるが……彼らには帰り次第伝えるとして、先に組長たちに伝えておくか」
「そうですね。隊士たちには明日の朝礼のときにでも」
近藤さんの提案に山南さんが微笑む。
「総司、皆を呼んできてくれるか?」
「わかりました」
その声はやけにクリアに耳へと滑り込んできた。
ハッとする。同時に昨夜のやり取りが鮮明に蘇った。挑発するような言葉と笑顔、殺気を孕んだ瞳、首に宛がわれた刀、『殺してあげる』という台詞、そして彼がそう言った本当の理由。
まだ、謝ってもないし、お礼も言えてない。一言でもいいから、伝えておきたいな。
昨夜あれだけ勝手な言い分を突きつけたから、躊躇ってしまった。でも勇気を出して彼の方へ顔を振り向け―――ようとしたのと、彼が出ていったのはほぼ同時で。
あ……。行っちゃった。
「なら、近藤さん。こいつはもういいか?」
「ん?あぁ、そうだな」
「おい、お前」
首だけ中途半端に横に向けたままの私に土方さんが言う。
