すると僕がいた場所を、一人の男が通り抜けていった。

いや正確には、身体をくの字に曲げた男が、そのままの姿で、後ろ向きに吹き飛んでいったのだ。

『風?』

何か黒い塊が、僕の横をもの凄いスピードで通り過ぎたかと思った次の瞬間、それは人の姿へと変わり、吹き飛ばされて倒れこんだ男に襲いかかっていた。