兄ちゃんはきっと、僕の知らない有貴さんをいっぱい知っているんだよね…… そしたら急に切なくなってきて。 ソファーの上、僕の左隣に座る有貴さんの腕に、きゅっとしがみついた。 「あれ、翔くんどこか調子悪い?」 僕に気付いた有貴さんが、心配そうに尋ねる。 小さく首を横に振った。 体調が悪いとか、全然そんなんじゃない。 だけど、強いて言うなら…… 胸が、苦しいよ。