「しょうがないよ、知佳(チカ)。この子名前負けだもん」
「あ、そっかぁ。ごめんね、みーちゃん。」
…そうだ。知佳ちゃんだ。
いつもあたしを冷たい視線で見ている女の子だ。
知佳ちゃんと知佳ちゃんの隣にいる女の子の言葉に下唇をぐっと噛む。
「あんたたち、いい加減にしなさいよ!」
「何よー。別に何もしてないじゃない。」
「もーいいよ!みー、行こっ」
慣れてる。
こんなこと、もう慣れっこだ。
津谷くんと付き合いはじめてから、こんなことしょっちゅうある。
津谷くんの取り巻きからは勿論、時々澤木さんの周りの友達からもこんな風に言われる。
梨香子に手を引かれる中、知佳ちゃんが満足そうな笑顔でこっちを見ていたのが見えた。
