「津谷くーん!」


「……何?」



目の前に居た黒い学ランを来た男の子が足を止める。



くるりと振り返ったその目には、好意なんて感じない。




「…あ。ごめんね。」


「……何か用。」


「ううん。何でもない」



あたしがニコッと微笑んでみせたら、彼はそのまま歩いていってしまった。




……はあ。


何やってるんだろ。



さっきの男の子、津谷くんは正真正銘あたしの彼氏。



なのに、津谷くんはあたしに冷たい。



あたしがどんなに頑張って話しかけても、「何?」の一点張り。



そりゃあため息だってしたくなるってもんですよ。