「次数学じゃん!うわー、やだな。」


美しい顔を歪めて、梨香子が呟く。



「やだって言っても、梨香子って毎時間寝てるじゃん。」


「あ、バレた?」


てへ、と舌を出した梨香子の背中をバシッと叩いてやった。




チャイムが鳴ってそれと同時にクラスメイトが各々席へ戻って行く。




運が良いのか悪いのか、津谷くんの席はあたしの前で。



授業中嫌でも目に入ってしまう。




「なーなー。」


先生はまだ来ない。
そんな時、あたしに話しかけてきたのは隣の席の瀬戸(セト)くんだった。




「中原ー。俺、教科書忘れちゃってさ!見せてくんね?」