「ひでーよな、詩乃ちゃんも。あんなに思いっきり殴らなくても…」
「春人が悪い。みんなの前であんなこと言うから!はい!おっけい。」
「いてー!もうちょっと優しく貼ってよ。」
「自業自得!」
先ほどのパンチが効いたのか、ほんの少しだけ腫れてしまった春人の頬にあたしは保健室で湿布を貼る。
…でも、さすがにやりすぎたかも。
その腫れた頬は痛々しくてあたしも少し罪悪感。
「…詩乃ちゃん?」
急におとなしくなったあたしを不思議に思ったのか、春人があたしの顔を覗きこむ。
「…ごめん。やりすぎたね。」
そう言って、そっと湿布の貼った春人の頬に触れる。
「痛い?」
尋ねると、
「痛くないよ。」
って…気を使ってくれたのか優しく笑って答える。
「それから、さっきはありがとう。あたし1人じゃどうにもできなかったと思う。」
きっと、意見もまとまらないままだったはず。
だからそれは本当にすごく助かったよ。
「あれは俺のわがまま。」
「へ?」
「言ったでしょ?詩乃ちゃんとの時間が増えるって。」
最初からそれが狙いだもん。
そう言う春人は少しだけ悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
「それに、好きな子の役にたちたいって思うのは普通でしょ。」
好きな子
だなんてまたそうやって…
「俺本気だから…冗談じゃないからね。」
あたしの気持ちを察したのか、すぐに真顔でそんな…
「でもあたしは…」
「先輩でしょ?わかってるよ。」
わかってるのに…どうして?
どうしてあたしを好きだなんて…

