少し歩けば階段が見えてきて、先輩と並んで歩くあたし。


入学初日から、なんだか変な感じ。



だってこんなかっこいい先輩とだよ?


まさに高校生って感じ!



表情には出すまいと必死で口に力を込めながら、階段を昇るとそこはどうやら1年生の教室らしい。



A、Bといったところで見えてきたのはC組。


あたしの教室だ。



「あ…。」


でもここで入るのも少し勇気がいる。


なんてったって遅刻だもん。


これは…


なんて考えていれば、



「大丈夫だって。」


先輩に背中を押されて勢いでドアを開けてしまった。



予想していた通り、一気に集まる視線。


うひゃあ~…




「ん?遅刻か?入学早々何を…」



わわわ…


やっぱり怒られるんじゃん!



そう思ったのだけど…



「稲盛先生、すみません。」



廊下にいたはずの先輩がひょこっと顔を出した。



「彼女、具合が悪かったみたいで…少し保健室で休ませてました。」



ええええ!


堂々とそんな嘘…大丈夫ですか?



「おお、そうか。すまないな、水原。」



ってええええ!


いいんですか?



状況がいまいちつかめないあたしは先輩と先生の顔を交互に見比べるだけ。



「とりあえず座れよー。」



担任の声にあたしは小さく返事をして、一度先輩に目をやればニッコリ笑いながら




「またね。」



と、ゆっくり教室から出て行った。