「はい、これバンソウコウ!!
 一応、貼っとくね。」


とっても強く、優しい良心を持ったコノ人は、
私の血がにじみ出る膝に、
うさぎの絵が描いてあるバンソウコウを貼ってくれた。


私が何でコノ人バンソウコウ持ってんだろう。
しかも何でうさぎ!?
という雰囲気を出していたのか


「あ~ぁあ、コレ!
 俺も結構、怪我するんだよねぇ!!

 何かに気をとられちゃうと、その事ばっかで、
 ぼーっと歩いてると、
 いつも、何かにぶつかったり、
 転んだりすんだよねぇ!!!

 だからいつも持ち歩いてるんだ。

 うさぎの絵なのは……まいっか。」


と言ってきた。

私は突然、泣き出した!!!

目からなぜか、
とうの昔に、私には必要ないと
心の奥底にある
迷宮の扉に閉じ込めたはずの
大粒の真珠たちが零れ落ちてきた!!


私は口を閉じたまま、
ずっと隠してきた
大粒の真珠を
静かに零し続けた。


零れ落ちる真珠に気付いた
一般より強く、優しい良心を持ったコノ人も、



初めて会った奇妙な女に
この上ない親切を全開でしているのに
突然、泣きだされるという状況に
対応する心は持っていなかった。


これも私は見ていないから
想像なのだが、

きっと
鳩が豆鉄砲をくらったような顔
というのは、
こういう顔を言うんだな
と思わせるような
ビックリ顔をしたに違いない。



この状況に対応する心を持っていなかったコノ人は、
鶏のように
せわしない動きをして
私に言った。