「あぁ、大丈夫です。
 ただのかすり傷ですから。」


「いや大丈夫じゃないよ!!
 膝から血、流れてるから!!」


「いや、ホント大丈夫ですから!
 こんなの、いつもの事ですから!!」


「いやいやいや!!!
 よくないって!!!
 女の子が血、流してんのに
 いい訳ないでしょ!!!
 まぁ、とりあえず
 そこの公園で脚、洗おうか!」


「いや…あの……」


困った…、
この人は一般よりも多少
良心が強いようだ…

私はこんな、いい人を裏切るのが


怖い…


私の存在を認めない者や、
私の存在を無かった事にしようとする
態度や目はもう慣れた。



だけど、こんないい人の期待に応えられない自分が…


嫌だ…


きっと、コノ人は私の顔を見てガッカリしても
この私ですら分らないよう気遣ってくれるだろう…


そんな気遣いをしてくれているコノ人の期待に応えらない自分が



嫌になる…


私を見てガッカリされるのが




怖い…