私の名はレシフェルト・アリシア。
王族の末っ子として生まれたの。
父は偉大な王レシフェルト・ラーファル。
半ば無理やりな尊敬と畏怖の念を込めさせて<天地天皇王>だなんて呼ばせていたけれど裏では<殺戮王><暴君><残虐王>だなんて呼ばれてた。
そんなことを知る由もない父上は、いつも威張って人を殺して戦や政を繰り返しては暇を潰していた。
見かねた兄のレシフエルト・ミーフェルトが止めたけれど聞く耳なんて持ってなかったわ。
「にぃに、いつになったらちちうえはおきづきになるのかしら」
「どうだろう、気づかないかもしれないね。どれだけ言っても聞いてくださらないから、無理かもしれない」
私達兄妹はいつもそのような話をしてた。
その日も、「ははうえないてらしたわ。きれいなうすももいろのハンカチを買ってらしたのだけどちちうえは見むきもしなかったと」
「あの方は繊細だからね。父上ももっと周りを信じられたらいいのに…」
兄上はいつも頭を悩ましていたわ。
可哀相に、兄上。体が弱いのに無理やりに訓練させられてボロボロだったのよ。
「にっ…兄上っ?!どうして、どうかしたの、それ?!」
「いやどうも無いよ、アリシア。それよりもアリシアはどうなんだい?」
「わたくしは平気よ。お勉強の時間も終わったもの。兄上のようにくんれんもないし」
成長していくにつれ、私達はどんどんと一緒にいれなくなった。父上の策略だと言うことは薄々感づいてたわ。
あの人のことだから、私達が疎ましかったのでしょう。
父上は私を憎んでいたんですもの。
それでも私は心のどこかでそんな父上を尊敬していた。