そこには、綺麗にお化粧をして
ドレスを纏った杏がいる。
 
その姿に驚いて、言葉が
出てこない雅也。
 
「・・・こりゃ
 孫にも衣装だな」

「何言ってるの、アンは
 お継母さん似で色が白くて
 すごい美人よ」

「ああ
 母さんによく似てるよ」

「キレイでしょうってね
 ユリちゃんのメイクの腕が
 すごいんだよ
 アーティストだもんね
 
 この家で、お酌してるなんて
 もったいないよ」

百合は、昔
メイクアップアーティストを
夢見て勉強をしていた時期が
あった。

その腕は学校の教諭達からも
認められていたが、結局
その世界に身を置かずに
こうしてお店の手伝いを
している。

「何言ってるんだ
 お酌もユリにしかできない
 立派な仕事だ」