蜜林檎 *Ⅰ*

「ルリ、イツキと
 サクちゃんがいるよ
 あそこ・・・」

「どこ・・・
 ここからじゃ見えない」

そんな二人に、店長は
気を利かせて言う。 

「どうぞ、そのままで
 近くまで見に行かれても
 かまいませんよ」
 
「本当ですか?
 ありがとうございます
 
 ルリ、もう少しだけ
 近くに行こうよ」

「衣装、絶対に
 汚しませんから・・・」

二人はドレス姿のまま
近くまで走って行く。
 
樹と朔夜に会えたことで
興奮状態な二人は

自分達が、ものすごく
目立っている事に
全く、気がついていない。

「アン、早く」

「だって、靴が・・・」

杏は、高いヒールの
ブーツを履いている。