蜜林檎 *Ⅰ*

「目が痛いよ・・・」

そう言って、樹をみつめる
杏の姿が百合と重なり

樹は、咄嗟に杏から目を
逸らしてしまうのだった。

杏のひとつひとつの仕種が

・・・重なり

樹は、戸惑う。

テーブルの上には、杏の手作り
の料理が並べられた。
 
ハンバーグにポテトサラダ
トマトスープ・・・

ケーキに、ワインに
飾られたお花・・・
 
電気を消し、樹はケーキの
蝋燭の火を吹き消す。

「おめでとう、イツキ・・・」

「ありがとう、うれしいよ」

「さあ、召し上がれ」

「いただきます」

杏の作ったハンバーグを
一口食べた樹の手が止まる。

「どうかした・・・
 イツキ、美味しくない?」