「イッキ、ユリの思いを
 汲んでやってくれ・・・頼む
 アイツはこれからずっと
 精神の病気と闘わなくちゃ
 いけないんだ
 イッキ、ユリは、おまえの
 夢の邪魔をしたくないんだよ
 
 それなのに音楽を辞めても
 いいなんて言うんじゃない
 ・・・・・・
 おまえとユリを一緒に
 居させる事はできない
 もう、俺の店にも二度と
 来るんじゃない」

運転席に乗り込む雅也、樹が
見つめる視線の先には

下を向いて泣いている
百合の姿が映る。

その姿に、樹は声が出ない・・

車内で、雅也は百合に聞いた。

「本当に
 本当にいいんだな・・・」

百合はお腹に手をあて、頷いた

雅也は、助手席の窓を少し
開けて大きな声で樹に伝える。

「イッキ、おまえらの事は
 ずっと応援してるからな
 これからもしっかりやれよ」