杏は、合鍵を貰えるなんて

夢にも思っていなかった。
 
樹の部屋に招待されただけで

胸が一杯だった。
 
彼女の瞳に、涙が溢れて零れた
  
「イツキ・・・いいの?
 
 私なんかに

 こんな大切な物」

「杏だから、渡すんだ」

「駄目だよ
 こんなのもらったら私・・・
 
 毎日でも
 ここへ逢いに来ちゃうよ」

「いいよ・・・大歓迎」

杏は、嬉しくて嬉しくて

しかたがない。

「イツキ、髪に何か付いてるよ
 ・・・取ってあげるよ
 ・・・もっとこっちに来て」

杏は、髪に触れようと伸ばした手
を樹の頬にあてた。
 
そして、サングラスをした
彼の唇にキスをした。