「イツキのお母さんが
 追いかけた相手の男性には
 その・・・妻子はいた?」

「いやっ、おじさんは
 独身だったよ
 それが、どうかした?」

「ううん、何でも無いよ
 ・・・何でもない」

手を取り合って幸福の中

眠る二人に

朝日が燦燦と、降り注ぐ。

電話の音が、そんな二人の
眠りを妨げる。
 
イツキは飛び起きて電話に
出た後、時計を見つめる。
 
時計の針は、10時半を
指そうとしていた。
 
「ごめん、寝過ごした
 ・・・分かったよ
 直に向かうよ
 
 うん・・・
 少し遅れるかもしれない」

電話を切った後の樹は、困った
表情で杏を見つめた。