蜜林檎 *Ⅰ*

「今日のライブ
 楽しみにしてます
 
 リハーサル
 がんばってください」

「盛り上がろうね、そうだ
 打ち上げがあるから
 おいでよ
 また、マネージャーに
 連絡させるから、それじゃ」

「はい」

杏は、愛しい人を乗せて走って
行くタクシーが、見えなくなる
まで手を振り続けた。 

杏がホテルの部屋に戻ると
瑠璃子とあやめは、まだ眠って
いた。
 
折りたたみベッドに横になる杏
は、さっき別れたばかりの樹に
もう既に逢いたいと思ってしま
う自分の胸に、そっと手を当て
そのまま眠りについてしまう。

お昼過ぎに目を覚ました三人は
少し遅い昼食を取りながら
ライブ開始までの時間を
潰していた。
 
昨晩、飲みすぎた瑠璃子は
二日酔いの頭痛が治まらず
杏から、頭痛薬をもらい
飲んでいる。