ベッドに横たわり、手招く
彼の元へと杏は、歩み寄り
樹の隣にそっと座る。
 
彼は起き上がり、お互いの
全てを隠さずに見つめあう。
 
触れた彼の髪から滴が垂れ
鎖骨を流れていくのを見つめ

その滴に指で触れる杏の手を
彼は握る。

二人は見つめあい

樹は、そっと

杏に口づけを交わした。
 
洗髪した彼の髪の甘い香りが
杏の心を掻き乱す。
  
このまま、時が止まればいい
 
二人は求め合い

愛し合う。
 
シーツに何も着ていない
体を包み、猫のように
丸くなって眠る杏の元へ

シャツを羽織った姿の樹が
缶ビールと灰皿を手に
煙草を銜えて戻って来た。
 
煙草を灰皿に置き、缶ビールを
あける音に杏は目を覚ます。

「ごめん、起こしたね」

「私、眠ってた・・・」

「少しだけね」