次の日、事務所の一室に
集まったメンバーは他愛ない
話をして、会議が始まるのを
待っていた。
 
そこへ、千里がマネージャー
森永と共に、深刻な面持ちで
入って来て、樹を呼んだ。

「イッキ
 ちょっと会議室に来て」

「はい」

他のメンバーにはマネージャー
から説明がされる。

会議室に入る樹を待っていたの
は、事務所社長の真野(マヤ)
だった。
 
五年前に、デビュー当初から
親交の深かった真野と共に
大手事務所を辞めて
今の事務所を立ち上げた。
 
その為、社長と言っても気心が
知れた仲間の一人だ。
 
「マヤさんまで
 何かあったの?」

「この写真見てよ
 彼女と会ってたのか?」

手渡された写真には、昨夜の樹
とまりあの姿が写っていた。
 
それは、誰がどう見ても
付き合っている恋人同士の
親しげに寄り添う姿だった。
 
「昨日、出先から戻って来たら
 マンションの前に、マリアが
 立っていてひどく酒に酔って
 いたから俺の家にあげた」