いつもと雰囲気の違う

杏の髪が、夜風に靡くと

あの時と同じ香水の
香りがした。

「その香り・・・
 以前の香りね
 
 甘くていい匂い」

家についたばかりの杏に
お店の方から雅也が声をかける

「アン、後で
 俺の部屋に来るように」

「分かった・・・
 先に、お風呂
 行かせてもらうね」

浴槽の鏡に映る、自分の姿に
杏はドキドキするのだった。

私の全てに、樹が触れた・・

雅也の部屋で、話をする二人

杏の目線は大切に飾られてある
母の写真を見つめる。
 
その写真の中の母は、優しく
微笑んでいる。

「アン、おまえも
 もういい大人なんだから
 人様に迷惑のかからない
 ように、自分の行動に
 責任をもちなさい」

「はい」