あれから、なかなか時間を
取る事ができなくて連絡が
遅れた事を樹は謝るのだった。

「こうしてイツキさんに
 誘って頂けて嬉しいです」

「何でも、食べれるかな?」

「はい
 好き嫌いは特にありません
 幼い頃から、親に食べ物を
 粗末にしてはいけないと
 きつく言われていますので」

「俺も昔、よく世話になった人
 に言われた事があるよ
 残さずに
 何でも食べろってね」

車を止めて店内へ入る、そこは
とても素敵な高級レストラン。

「私、普段着なんですけど
 いいんでしょうか?」

「プライベートルームを
 借りてあるから
 気にする事ないよ」

「プライベートルームですか
 ・・・」

お洒落で高級感たっぷりな
お店の雰囲気に圧倒され

杏の心は緊張と初めての経験
に、少しだけ不安な気持ちで
いっぱいになる。