「あ!」 


車に乗ろうとした彼が、くるりと振り返り、あたしに駆けよってきた。 


ポケットをごそごそやり、 


「これ、やるよ。」 


と、あたしの手に何か握らせた。 


「バスケット続けろよ。そしたら、またどこかで会えるから。」 


そう言い残し。


彼は遠くに行ってしまった。