辛かった。
後悔もした。

けどあなたがいたから立ち直ることができたの。

本当にありがとう。


あたしは教室に繋がる廊下を歩いていた。

今は放課後で生徒はほとんどいない。

2年3組の教室に着くとドアを開けた。


「あれ?」


あたしの視線の先には机で1人寝ている緒方。

緒方は成績は良く、見た目も普通にカッコ良い。

けどあまりモテないのか彼女といる所を見たことがない。

そんな男の子だった。


あたしは緒方の前の席に座った。


「緒方! 緒方!」


緒方の頭をつっついてみた。

すると緒方はゆっくりと頭をあげ、
眠そうに目をこすった。


「あれ? 佐伯じゃん」

「何してんの?」

「眠たかったから寝てた」

「家で寝ればいいのに…」

「家帰んのだりぃもん」


緒方は極度のめんどくさがりのようだ。

大きく伸びをするとまた目をこすった。


「佐伯は何してんの?」

「あたしねー、彼氏と別れてきた」

「へぇー、彼氏いたんだ」

「うん。かばん取りに教室戻ってきたら、緒方いるからびっくりしたよ」


あたしは自分の席にある荷物を取ってから、また緒方の前の席に座った。