「よ、っと」


 俺は壁に寄りかかると、深いため息をつく。


「気がつくのが遅すぎたんだ」


 一人で喋るなんて空しいよな?

 でも、そうでもしないと俺も壊れそうだったんだ。


「ハル……猫のままで良かった、なんて……嘘だよ。あんな事思ってない」



 携帯の時計を見ると、ちょうど午後九時だった。

 あれから何時間走ってたんだ?