防衛要塞都市

「……どうして!?」


すっかり静まり返った司令室内で、セイルの疑問の声が響いた。


「さて、何がでしょう、セイル軍曹。」


微笑みが戻ったカシワギは、彼に優しく問い掛けた。


「その、もしかしたら彼、彼女かも知れませんが、あの人を助けられたかも知れないではないですか。何も殺さなくても……。」


一息置いて、セイルはカシワギとリーの目を見て、続けた。


「いくら敵だと言っても、相手は人間です。だから……えーと……。」


「軍曹。」


静かに聞いていたカシワギが口を開く。


「私たちは、彼らを殲滅しなければならないのです。」


「どうして……。」


二度目の質問に、カシワギの笑顔はすぐさまなくなり、


「ヴィンヤード大佐・・・そして、御父上を殺害したのは、どなたでしたか?」


セイルはぴくりと反応する。


「質問の答えを言いましょう。彼らは、“敵”だからです。」


そう冷たく言い放った後、彼女はエレベータで去って行った。