アンナの結婚はもちろん嬉しい。
しかも相手は、俺達の親友なんだ。
嬉しくないわけがない。


だけど……やっぱり少しだけ寂しい。


それは、娘が嫁ぐ、父の心境というか……そういう類いのもので。

だから今日、結婚前夜という非常識な日時ではあるけれど。

アンナが“飲もう”と誘ってくれたことは嬉しかった。


「今日、ジンもアキホと飲んでるんだよ」

機嫌よさ気に笑うアンナ。

少し酔っ払っているのだろう。

アンナの前には空になった缶が一つ。

普通ならば、これくらいで酔っ払ったりしないのだろうけど。

アンナは……というか俺達は全員、アルコールに滅法弱いのだ。