テーブルがないこの部屋。

俺達は敷き詰められた絨毯の上に、いつも通り輪になって座る。

その中心には、お菓子の山と缶チューハイが少しだけ置かれていた。


「なあ、本当に大丈夫か?」

「うん。大丈夫だよ」

「キョウは心配性だよな。三人いれば誰か起きるだろ!」

……そんなことを言っていて、修学旅行の日に寝坊してしまったことは、コウタの記憶からは抹消されているらしい。

あの時はコウタのお母さんがたたき起こしてくれたから、飛行機の時間にはなんとか間に合ったけれど。


今回はそうはいかない。

ここは一人暮らしをする、コウタのマンションなのだから。


明日だけは絶対に。

寝坊なんてするわけにはいかない。

だって明日は。

俺達のお姫様の結婚式なのだから。