彰那は、下の名前で呼ばれるのをあまり好まないのだ。
女の子のような響きのその名前を気にしているみたいだけど、僕は良い名前だと思うけどな、彰那。
「同室の高槻彰那だよ。名前で呼ぶと怒るから、苗字で呼んであげて」
知り合ったばかりの兵藤くんに対して、既に苦手オーラを発しまくり不貞腐れる彰那の代わりに、兵藤くんに紹介してやる。
「じゃあ……高槻。咲都は高槻のこと、彰那って呼んでるけど」
「咲都はあれだ、特別」
「神宮くんは高槻のこと、何て呼んでる？」
いきなり兵藤くん、どうしたんだろう。
話の意図が読めない。
「高槻だけど」
