「彰那、煩いよ。どうした……の、って……」
下げていた顔を上げると、兵藤くんが神宮くんに抱き着いているという、何とも言い難い光景が広がっていた。
間ではその二人を引き離そうと、彰那が必死になっている。
……何これ。
気持ち悪いんですけど。
「神宮くんだけだよ、僕の話を何も言わずに黙って聞いてくれるのは……!」
神宮くんに抱き着きながら、兵藤くんは何やらほざいている。
……僕、なんかわかったかも。
兵藤くんは、感情を全身で表す人で、嬉しいことがあったら、相手に抱き着く。
そういう人なんだ。
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