「これ、お前の連れと神宮に出してやれ」
そう言って彰那に差し出されたお盆の上には、カルピスが二つ。
コップの中からは、氷の奏でる涼しげな音が響いている。
「ありがとう。じゃあ、持って行く……ね」
リビングで待つ兵藤くんと神宮くんのもとへと踵を返した。
一歩踏み出して、はぁ、と思わず溜め息が零れる。
あんまり戻りたくないんだけどな。
兵藤くん、反応がいちいち面倒臭いんだよね。
その為に彰那の所に来たっていうのに、今日に限って手際がいいんだから。
「咲都」
後ろから名前を呼ばれて、ピタリと足を止めた。


