「咲都、そんなに見つめるなよ。照れるって」
ポッという効果音を付けて、身体をくねらせる兵藤くん。
デカい図体で目の前でそんなことをやられては、軽蔑の目で見てやることしかできない。
何て言うんだっけ、こういうの。
よく言うよね。
えっと、確か……。
「ウザい」
──あっ。
今、僕……声に出してた?
「咲都、今のそれ、俺に……?」
「えっと……その……」
涙目で僕を見ないでほしい。
そういうのがウザいんだよね……。
横目で神宮くんを見遣ると、流石の神宮くんも顔を上げて僕を見ていた。
駄目だ。
今日は本当に調子が狂う。
「彰那ぁー、そっちは大丈夫?僕も手伝うよ」
無意識に僕は、キッチンでお茶の用意をする彰那の元へ歩き出して──いや、逃げ出していた。


