「……兵藤くん、どうかした?」
「いや、えっと別にどうもしてないんだけど……」
そうは言うけれど、どこか煮え切らない表情をしている。
「あの、一応僕、兵藤くんのお世話係だし学級委員もやってたりするからさ、困ったことがあったら何でも言ってね?僕で力になれることは協力するよ?」
面倒なことは後回しにしたくないし、こういうのは先に言っておくべきだよね。
「……ありがとう、咲都」
申し訳なさそうに、でもどこか照れ臭そうに、兵藤くんは笑った。
兵藤くんって、変わってる。
初対面でいきなり抱き着いてきたかと思えば、今のように急に大人しくなったり。
今まで関わったことの無いタイプの人だ。
……多分、悪い人ではないんだと思う。


